耐震リフォーム
過去の大地震にみる住宅の倒壊原因とは
阪神淡路大震災では6,434名もの尊い命が一瞬にして奪われました。
しかも亡くなられた方の9割近くは、自宅の倒壊によって亡くなっています。
震災後、住宅の倒壊原因を調べると、以下のような3つの共通点が見つかりました。
1. 壁の量が不足
建築基準法では建物の面積によって、必要な壁の量が決められています。
この壁の量の変更があったのが、昭和56年の建築基準法改正でした。
昭和56年5月31日以前に建てられた建物を旧耐震基準、それ以降を新耐震基準と呼んでいます。
倒壊した住宅の多くが新耐震基準以前の建物でした。
2. 壁の配置バランスが悪い
建物には、重さの中心となる「重心」と壁の強さの中心となる「剛心」があります。
この「重心」と「剛心」の距離を偏心距離と言い、距離が離れているほど地震時の建物の揺れが大きくなります。
建築基準法では平成12年に具体的な数値が明記されました。
3.接合部の金物
建物は強度を保つために「筋交い」というものを入れます。
しかし、地震の際などには、この筋交いが原因で、柱が土台から抜けてしまう現象(ホゾ抜け)が発生し、住宅を倒壊させてしまいました。
建物の耐震性を決める数値
耐震診断により、図面をもとに外壁や基礎のひび割れ状況、床下や小屋裏の環境、内壁の状況などを確認し、国土交通省監修の「木造住宅の耐震診断と補強方法」に基づき総合評点を出して、以下のように4ランクで判定します。
上部構造評点 | 判定 | 耐震基準 |
---|---|---|
1.5以上 | 倒壊しない | 現行の耐震基準を満たしています |
1.0以上〜1.5未満 | 一応倒壊しない | |
0.7以上〜1.0未満 | 倒壊する可能性がある | 現行の耐震基準を満たすためには 改修工事が必要です |
0.7未満 | 倒壊する可能性が高い |
リフォームの方法
壁の補強
耐震診断の結果から補強の必要な個所を割り出し、的確な位置に的確な強度の壁を補強する必要があります。
基礎の補修
ひび(クラック)の補修や無筋基礎の有筋化などがあります。
劣化の改善
土台・柱下の改善
土台の取り替えや柱根継ぎを行う必要があります。床下に調湿炭を敷き詰めることも効果があります。
屋根の軽量化
重量のある日本瓦を、軽量な材質に取り替えることも、耐震性の向上に有効です。